• 2024年度数学科リレー講座「アーベルの定理200年記念講座」4日目

2024年度数学科リレー講座「アーベルの定理200年記念講座」4日目

2024.08.29

  • KSプロジェクト
  • 数学科

後半4日目・5日目では,アーベル・ルフィニの定理について紹介します。

4日目前半は,証明で必要な考え方である方程式の解の入れ替えについて,解と係数の関係から始めて,対称式・置換と,順に記号や用語を導入し,具体的に3文字の入れ替えを演習しながら3次対称群を構成しました。さらに,差積や偶置換の性質についてまとめ,証明の次段に進めるようにしました。

4日目後半は,アーベル・ルフィニの定理「5次以上の一般代数方程式は代数的に解けない」の証明に向けて,方程式を代数的に解くとはどのような操作であるかをまず確認しました。代数的に解くとは,係数の集合から出発して,四則演算とべき根をとることをくり返し行って解に到達することですが,その際,図を用いて視覚的に説明すると,生徒からは納得した声が上がりひと安心でした。
その後は,代数的に可解である2次方程式と3次方程式の解の公式を詳細に調べることを通して,4次以下では代数的に解け,5次以上では解けないことがどのようなことから生じてくるのかを見ていきました。そこで大事になることは「解の入れ替え」という操作であり,とくに3次方程式の場合では前半に学んだ置換をいくつかの積で表すことを使いつつ,6通りすべての解の入れ替えに関する対称性がないことを確認しました。
そして以上の考察から,代数的に可解であるためには, 四則演算とべき根をとったときに出てくる式において,解の入れ替えに関する対称性が完全にないものが必要であるという結論を得て,明日の証明の理解の助けになることを期待しつつ講義を終えました。

 

以下は,生徒たちの感想です。

・具体的な数値から記号に一般化されたこともあり,全体的に難しかったが,対称式や置換の基本的なことは理解でき,非常に有意義だった。明日や明後日が楽しみ。
・解の公式を求めるためには解を入れ替えたときに対称性を完全になくすことが必要だということに感銘を受けました。そこから群論につながっていくのかなと思いました。
・4次方程式までの方程式は,べき根をとる等して,解が含まれる所まで数の範囲を広げることで解くということが分かった。そのように考えていくと,5次方程式以上の方程式はどのように解くのだろうなぁ?と,また疑問がわいた。
・集合みたいなものを置換する話がとてもおもしろかった。結合法則,単位元,逆元がある集まりである,かつ,交換法則がないのが面白かった。別の集まりだとどんな法則なのか考えたらおもしろいんじゃないかと思った。
・普通に方程式を解いている中で,解を求めるというのは,対称式から認識している数の範囲を広げているということだと分かった。対称式は解を入れ替えても式が成立することであり,置換や基本対称式によって,式の表現方法を沢山考えられるということが分かった。因数分解ができれば表現できる範囲が広がると思うので,授業を習うのを楽しみにしている。